バクティと信仰心

2025年 明けましておめでとうございます。

本年も暮らしの中の日々の氣づきを書き綴っていこうと思っています。私の小さなひらめきが、何かのお役に立つことができれば幸いです。どうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、新年といえば、おせち料理、お餅、お屠蘇。。。いやいや、それでは正月から煩悩まみれじゃないですか ( ̄▽ ̄;)

新年といえば、初詣ですね。

わが集落では、元旦の早朝、氏神様を祀る地元の神社に集まって、献火を焚き、氏神様に向かってみんなで一斉に柏手をうって、深々と頭を下げ、一年の無事を祈願するところから新年が始まります。そして自治会長さんの挨拶のあと、お神酒を回し飲み、献火で焼いたスルメをかじりながら、初日の出を浴びて和気あいあいとおしゃべりをして過ごします。

松の内が明けて13日ごろには、班ごとに「お日待ち」という行事を行います。早朝、その年の班長さんの家に集まって、木や藁で組んだ祭壇に、お酒やお餅をお供えし、日の神さまをお祀りする行事です。終わると、みんなでお神酒を回し飲みます。

「お日待ち」はもともと、終夜寝ずに日の出を待って拝する日祭り神事で陰暦の正月三日、十三日、十七夜、三十三夜を選んで行われていたそうです。

日の神さまは古来「大日天王」とも言われ、インドでは太陽を神格化したバラモン教の神スーリヤでしたが、仏教に取り入れられて、観世音菩薩の変化身である「日天子」或いは「宝意天子」または「宝光天子」とされたようです。

「お日待ち」の後には、「日神祝祭之眞璽」「宅神屋船祈禱神璽」「御竈神祭神璽」という主祭神(我が家は白山神社なので菊理媛命)とともに神棚にお祀りするお札が、紙垂(しで=白いひらひら)と一緒に配られます。日の神さまと船主の屋形の神さま(神屋)とかまどの神さまです。日の神さまは天照であり大日天王、神屋の神さまは素戔嗚(このあたりでは津島さまと呼びます)、かまどの神さまは久那土神とも言われ、神道では竃三柱神でオキツヒコ、オキツヒメ、カグツチ(ホムスビ)、仏教では三宝荒神と言われます。神仏習合の要素が色濃いですね。

「お日待ち」が終わると、どんど焼き。お正月に歳神さまをお迎えするために飾ったしめ縄や門松などを燃やし、五穀豊穣を願って手を合わせ、やはりここでもお神酒を回し飲みます。(飲んでばっかやな)

午後からは直会。本来は神さまにお供えしたお神酒や御食(みけ)を一同で食すのですが、近年は新年会みたいな感じで、みんなで食べて飲んで。(また飲むんかい!)

正月の行事が終わると、節分には恵方詣り。恵方とは歳徳神が在位する方角のことで、毎年変わり、今年の恵方は西南西やや西よりだそうです。その年の恵方にある社寺に参拝して、その年の幸福を祈願するのが恵方詣りです。本来の恵方詣りは新年に行うもので、旧暦の新年は冬至にあたるので、本当は冬至にお参りした方がいいんですよね。

これらの行事は宗教に関係なく、わが集落では、誰もが日常的に行っています。春と秋には氏神さまの大祭、夏には津島さまの天王祭があります。この祭りは、集落の男衆が藁と笹で編んだ船をこしらえて、玉串と灯明を立てた巻藁船(まきわらぶね)に津島さまの御霊を乗せて飛騨川に流すのです。川の瀬に引っかからず、下の方までうまく流れていけば今年も安泰という貴重な神送りの神事でしたが、去年、集落の高齢化で伝統的なこのお祭りが簡易化され、神棚にお参りするだけのものになってしまったのは、とても残念です。

巻藁船

このように集落の行事は神事(かみごと)を中心に行われます。過疎が進む地方の集落で、受け継がれているものは年々減ってきて、形式的なものになりつつありますが、これらの行事を大切に行ってきた先人たちの魂の根底には、深い信仰心があります。

現代の日本人で、特定の宗教にこだわっているいる人はとても稀ですよね。私が昔インドを旅していた時、決まってインド人に「あなたはブッディストか?」と聞かれました。私の実家は仏教の檀家でしたが、私自身が仏教を信仰していたわけではないので「ちがう。」と答えると「では何の神さまを信じてる?」と聞かれ「特に何も。」と言うと、信仰心の熱いインド人に不思議そうな顔をされました。もっとも現在のインド人は無宗教の人も多いらしいですが。

多くの日本人は無宗教ですが、お正月は神社へ行ってお参りするし、お葬式ではお経を唱えるし、クリスマスも祝うし、あまりこだわっていないせいか、何でも受け入れていますよね。宗教は嫌いと言いながら、神だのみと言っては、大事な時だけ神仏に祈りを捧げます。縁結びやご利益、パワスポとかも大好きです。その根底にはDNAに刻まれた強い信仰心があるように思います。特定の神というより、目に見えない大いなる力を何となくわかっているからなのだと思います。

日本人が普段何気なく使う「おかげさま」という言葉があります。何かめでたいことがあり、お祝いの言葉を述べると「おかげさまで。」と返したり、健康でいられることに対しても「おかげさまで。」と言ったりしますよね。「おかげさま」は相手に対して、という意味と同時に、ご先祖さまや神さまや守護霊のような、行為の陰で動いていて、ありがたいと感じる、目に見えない力に対して、意識せず言っているのです。

八百万の神という思想からも言えるように、日本人は、神は遠い所にいるのではなく、この世界のすべてが神である、という考え方を持っています。山川草木悉皆成仏という、この大自然に存在するすべてのものに仏性がある、という日本独自の仏教思想からも言えるように、山も川も森も動物も虫でさえ、神の現れである、というアニミズム(自然信仰)は、何気ないものの中に神の力を感じ、日常のあらゆる経験の中に悟りを見出すことが出来る、ということを、無意識的に日本人は知っているのです。

ヨーガ哲学にバクティという教えがあります。バクティとは、神に対する愛のある献身的な奉仕のことで、ヒンドゥー教においては「最高神への絶対的帰依」を意味します。

インドで発展した解脱を獲得するためのヴェーダの学問は、バラモン(司祭)の家系に生まれた人だけに開かれたもので、社会生活を放棄した修行者の教えであり、一般の人々にとっては受け入れがたいものでしたが、7世紀に南インドで、叙事詩バガヴァッド・ギーターによって説かれていた、神を信愛することによって自力では到達できない解脱を神の慈悲によって与えられる、というバクティ思想が、ヴィシュヌ派を中心としたヒンドゥー教徒全般に広く受け入れられました。

飢饉や戦争で世の中が荒れていた時代、ヴェーダ哲学を学ぶことが許されていない一般の人々が必要としていた救いの道が、どんな人にも実践できて、誰のことも見捨てない、バクティ・ヨーガでした。バクティ・ヨーガを実践するヨギーはバクタと呼ばれ、キールタンやバジャン、チャンティングによって、神の名を歌い、神への愛を妄信的に捧げ続けることで悟りに達します。

これは、それまで国や皇室、貴族のためにあった仏教が、浄土真宗を開いた法然上人によって「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えれば、だれでも極楽浄土に行けると説いた専修念仏の教えと同じものです。うちのおばあちゃんも、浄土真宗ではないのに、何かあるとよく「ナンマイダ、ナンマイダ」と唱えていました。よくわからないけど、何となく唱えていれば安心したんでしょうね。

バクティ・ヨーガや仏教が救いの教えであるのに対して、日本の信仰心はその背景が少し違います。日本の信仰心のルーツは、遡れば、1万年以上戦争がなかったと言われる縄文時代にあるからです。

縄文時代の信仰はアニミズムとシャーマニズムです。アニミズムは万物に神が宿ると考える、いわゆる精霊信仰です。精霊信仰は自然崇拝とも少し違います。自然崇拝は、自然そのものを崇拝します。たとえば、山を信仰の対象とするならば、山を擬人化して、山の神に祈りを捧げ、救いを求めます。精霊信仰の対象物は自然だけではなく、日常のあるゆるもの、たとえば、竃や桶などにも精霊が宿っており、病気になったり、災害が起きたりすると、生贄を捧げたり、、形代を作って、それらの精霊をなだめます。つまり、呪術的な行為で精霊を鎮めるシャーマニズムと呼ばれるものです。

縄文時代の土偶は身体の一部が意図的に破壊されています。これは、足の悪い人が形代としての土偶の足を破壊することによって、土偶を身代わりにして足の障害をなくそうとする呪術なのです。これらの呪術は、邪気払い、厄除け、子宝、安産として、現代の民間信仰や風習に受け継がれています。前回お伝えした、蛇信仰などもそのひとつであると言えます。興味のある方は、前回の「龍蛇信仰」も併せてお読みくださいね。

これらのアニミズム、シャーマニズムなどの原始宗教は、縄文後期に古代神道へと発展していったのではないか、と考えます。古代神道は現在の、仏教、儒教、キリスト教、ユダヤ教が混在した皇室神道のように、特定の神を崇めるのではないため、鳥居や社殿などもなく、山や岩や海などの自然物を依り代とする寄り神信仰で、教義や経典などはなく、口伝で伝えられたものです。石に宿る精霊を依り代とした磐座(いわくら)信仰や木に宿る精霊を依り代にした神籬(ひもろぎ)信仰などです。これらの信仰は、祝詞で厄災を祓う古神道と、呪物で祓う俗神道に分かれ、後者は記紀に根拠を置かない信仰です。

日本人は特定の神の名を唱えるということは、一般的にはあまりありませんが、食べ物や供物をまず最初に神に捧げたり、四六始終、神への信頼を心に抱くという点では、バクティと似ているかもしれません。もともと、バクティ的な信仰を持っている日本人には、回りくどい教義や哲学などは必要ないのでしょう。

そして日本人は神に祈りを捧げ、神を崇める、というより、精霊とともに生きるという考え方が根底にあるのだと思います。神というと、宗教チックな意味合いで敬遠しがちですが、精霊といえば、もののけ姫のコダマなどを連想して、しっくりくるのではないかと思います。

いずれにせよ、私たちの背後で、私たちを動かせている、目に見えないエネルギーの存在を感じているはずです。事あるごとに、鎮守の森に囲まれた神社や大自然の中に導かれていくのは、私たちがその存在の力を知っているからです。

その大いなる存在、それこそが現代スピリチュアル的にも話題の超意識というものです。潜在意識よりも深い領域にある、自我を超えて宇宙とつながった状態の意識です。ヨーガの世界では、空・梵・ブラフマンと呼びます。神道では造化三神の中のアメノナカヌシノカミにあたります。物理学的には宇宙の特異点ですね。宇宙を生み出した絶対無というものです。縄文人のみならず、古代の人々はみんなこの超意識につながっていました。けれど自我意識(アハンカーラ・観察者)が生まれ、人間は目に見えないものを信じなくなりました。物質文明の始まりです。肉体や物質などの目に見えるものだけが現実だと思うようになります。ヨーガではそれをプラクリティと呼びます。

けれど、プラクリティは超意識であるブラフマンによって創られた関係性においてのみ成り立っているのです。どういうことかと言えば、もともとはブラフマンによって創られたものがプラクリティだからです。そしてプラクリティはアハンカーラ、つまり何者かに観察されることによって存在しています。その何者かとは?それが私たちの魂です。ヨーガでは、プルシャ(真我・ハイヤーセルフ)と呼びます。

プラフマン(宇宙の特異点)から生み出されたプラクリティ(自己・物質・客体)は、プルシャ(魂・真我・主体)によってアハンカーラ(自我意識の観察)されることでのみ存在するわけですから、アハンカーラがなくなれば、プラクリティというものはただのマーヤ(幻)に過ぎないということです。

ヨーガ哲学で説明すると、ややこしくてわかりにくいかもしれないんですが、要は、自分だと思ってるものは、実はただの幻で、自己とは、自分以外のものが成り立たせてくれている、ってことなんですよね。え?私って私じゃなかったの?そうです!そう思い込んできただけなのです。本当の私は魂だったんです。その魂は常に超意識にアクセスしてるのです。

古代の人々はヨーガ哲学や物理学なんて知らなかったけど、そのことを知っていました。特に日本人は、恵まれた自然環境のなかで暮らし、自我意識の象徴である戦争とは無縁の、分かち合う調和した生活を長い間続けていたので、その感覚は研ぎ澄まされていたのではないでしょうか。「おかげさま」「おたがいさま」日本人がよく使うその言葉はすべて物語っていますよね。

けれど、現代の日本人はすっかり物質文明に染まり、多くの人が目に見える現実のなかだけで生きています。心の奥の深いところにある信仰心を、宗教的、迷信、胡散臭いもの、と捉えてしまい、軽んじています。日常に宿る精霊の存在に感謝することなく、己の力だけを頼りに生きていく人間の先にあるのは、絶望とエゴイズムと分離感という闇です。何ものともつながっていないと感じて自死する人の多さは数え切れません。もう一度思い出してほしいのです。私たちはこの宇宙を生み出した無限の力といつもつながっているのです。

そして、今こそ救いの教えが必要なのです。様々な教義を超えて、特に日本人ならすぐに思い出せるはずです。もともと、みんな本当は知っているのだから。

まずは心を静かに、目を閉じて、あれこれ思いめぐらす論理的思考を一切無視して、ご自身の呼吸に耳を傾けてみてください。呼吸に集中し、今ここで生かされていることを喜び、その感覚にただ満たされてください。宇宙から常に送られてくる無限の愛の光に包まれている感覚をただ、味わい、感じてください。いつもあなたを守っている存在に必ず気づくはずです。

今回も、小難しい話に長々とお付き合いくださり、ありがとうございました(*^-^*)

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