立冬を迎え、寒さも増してきた今日この頃いかがお過ごしですか?
11月のはじめに地元の神社「赤池弁財天」で、若くして癌で亡くなった友人の七回忌のイベントがありました。「赤池弁財天」は「赤池龍神」として、地元、上麻生の人々から親しまれているお宮さんで、弁天池を渡った島の上に、美しい飛水峡の渓谷を見下ろすように社殿が建っており、険しい山道を歩いて行かなければならないため、誰でもお詣り出来るように飛騨川を挟んだロックガーデンという広場に、赤池龍神が拝めるよう赤い鳥居が建っています。イベントはこのロックガーデンで行われました。
地元の伝説によれば、その昔、細尾谷のあたりで、大蛇が人を襲っており、その村の猟師の五兵衛が、火縄銃で大蛇の頭を撃ち抜きました。大蛇は七日七晩血を流し続け、細尾谷を流れる川を真っ赤に染めて、その水が弁天池に流れ込みました。それ以来、麻生の弁天池は「赤池」と呼ばれるようになった、という事です。この物語を膨らませて私小説「神麻生草子」という本を出版しています。
亡くなった友人の名は陽介。木彫家、画家として活躍しており、作品の中には龍をモチーフとしたものが数多くあります。陰陽を八分割して捉える八卦では、陽の中の陽、つまり純陽を乾と呼び、これを象徴する生き物は龍だと言います。陽介は自身の象徴としての龍を感じとっていたのかもしれません。
龍神さんに見守られての七回忌イベントは終始にぎやかでなごやかで、なつかしい友人たちの再会の喜びとともに、故人の魂が仲間の絆や連帯感をより一層、強く深く繋げていったように感じました。
そんなわけで、今回は辰年と巳年の狭間ということもあり、龍神・蛇神にまつわるお話。
日本における龍神信仰は、古くからの「自然崇拝」と「神道」が結びついたもの、と言えます。後に中国から仏教由来の龍が入ってきて、龍神信仰はより強く日本人に根付いていきました。全国には、数多くの龍神伝説があり、赤池龍神の伝説もそのひとつです。
日本で最も古い龍についての伝承は、720年頃に成立した「日本書紀」の山幸彦と海神の娘トヨタマヒメの話です。山幸彦と結婚したトヨタマヒメは子を身籠り、出産時に「決して見ないでください。」と山幸彦に言って産屋に籠りますが、山幸彦は約束を破って産屋をこっそり覗いてしまいます。そこには、龍の姿のトヨタマヒメがおり、姿を見られたことを恥じて、生まれたばかりの子を残し、海に帰ってしまいました。この子が初代の神武天皇に繋がるウガヤフキアエズノミコトで、現天皇家の由来を語る、水神としての龍の神話です。一説には、鰐の姿であった、とも言われますが、どちらにしても水神としての神格を持ちあわせています。都市伝説では、ドラゴニアンとか爬虫類系レプテリアンとか言う話もありますが、そこら辺は都市伝説系の人にお任せするという事で。( ̄▽ ̄;)
歴史上、龍は弥生時代に中国から日本にもたらされたもの、とされますが、日本には「龍蛇信仰」と言って、龍と蛇を同一視しており、日本の蛇信仰は縄文時代にもさかのぼります。
縄文土器の縄目の文様も蛇の象徴である、という説を唱えるのは、民族学者の吉野裕子氏です。著書「日本の蛇信仰」の中で、吉野氏は、神奈備山(円錐形の山の信仰)は蛇のトグロの姿であり、しめ縄は交尾の姿である、と言います。美しい円錐形の山である、奈良県桜井市の三輪山のご祭神は、たしかに蛇神オオモノヌシです。また、吉野氏は、鏡餅もまた、蛇のトグロの姿だと言います。蛇の古語はカカ、つまり、蛇身(カガミ)と言うわけです。このように蛇信仰は民間信仰として、日本人の日常に古くから根付いていたのです。
日本人にとっての蛇信仰は、自然信仰のひとつです。その身体は男根を彷彿させるため、生命のシンボルとして崇められ、脱皮という、特殊な生態系が生と死の象徴として神格化されていきました。蛇が脱皮した後の抜け殻を財布に入れておく、という独特な風習も、お金がまた戻ってくる、と言う、蛇の再生としての象徴から言い伝えられたものです。古来より、日本人の蛇に対する畏敬の念はとても強烈なものであったと言えます。
また、日本には白蛇を祀る神社が数多くあります。昔から白蛇は縁起がいい、と言われます。愛知県には「白蛇を見ると死ねが、祀ると福がある」という言い伝えもあります。
古く、北海道には「白蛇姫」の伝承があり、かつてアイヌ語でクテクウシと呼ばれていた頃、飢饉が起こり、多くの人がコタンを去る中、残った人々がカムイに祈り、皆が眠った際、夢の中に女神が現れ、白蛇を使いとして出すから後を追いなさいというお告げを受け、目を覚ますと皆同じ夢を見たと証言します。その後、白蛇の後を追い、困難を乗り越えた末、然別湖に辿り着くと、魚やザリガニを大漁に釣り、飢饉から救われた、というものです。アイヌでも白蛇は福を呼ぶ神とされていたのです。
天岩戸(あまのいわと)神話のいわれがある長野県の戸隠神社の奥の院には、神話とは無関係の「九頭龍社」があります。ご祭神は九頭龍大神で、創建は奥社よりも古い、と言われます。九頭龍は八大龍王と同じく仏教伝来の神様です。戸隠奥の院に、もともと祀られていた水神、蛇神が、神仏習合で九頭龍になったのではないか?というのが、私の推測です。
古代インドの大叙事詩「マハーバーラタ」には、「ヴァースキ」というナーガラージャ(蛇の王)が登場します。地下世界バーターラの支配者で、長大な胴体を持ち、ハーラハラという猛毒を有します。ヒンドゥー教における天地創造神話「乳海攪拌」では、不老不死の霊薬アムリタを求めて長い間争っていた神々とアスラたちは相談して、大亀に変身したヴィシュヌ神が、その背中に乗せたマンダラ山にヴァースキを巻き付けて、その尾と頭を神々とアスラが互いに引っ張り合うことでマンダラ山を回転させて海を攪拌させることでアムリタを作り出すことを思いつき、1000年もの間、攪拌は続き、その間に乳海からはラクシュミー女神をはじめ、様々な神が生まれ、最後にアムリタの入った壺を持った医薬の神、ダヌヴァンタリ神が現れるという、突拍子もない物語があります。この時苦しんだヴァースキがハーラハラという猛毒を吐き散らしました。それをシヴァ神が飲み込んで危機を救いますが、その猛毒のためシヴァ神の首は青くなり、それ以来ニーラカンタ(青い首を持つ者)と呼ばれるようになった、という逸話もありますが、ヴァースキにとっては、かなりはた迷惑な話でもありますよね( ̄▽ ̄;)
そのヴァースキが仏教に取り入れられて八大龍王のひとりになり、その後、日本に伝わって九頭龍大神になった、と伝えられています。
インド神話におけるナーガは、蛇の精霊で、お釈迦さまが悟りを開く時にも守護したとされますが、ヒンドゥー教を由来とする古代仏教の法華教八部衆にも蛇神がいます。土着の蛇信仰では、日本の屋敷蛇や田の神、藪蛇などと同じ意味合いで蛇を祀っていました。仏教では竜王として取り入れられていますが、アーリア人がもたらしたバラモン教(後のヒンドゥー教)より昔から存在したドラヴィダ人の崇拝する最も古い神で、人間の顔と蛇の身体を持つ半神半人として描かれる、不死と生命力を象徴する神です。ドラヴィダ人のその信仰は、日本の蛇信仰と同じものだと言えます。
一方、リグヴェーダで伝えられる巨大な蛇の怪物ヴリトラは、水を閉じ込めて干ばつを引き起こすとされ、インドラ神に殺されます。ヴリトラとインドラ神の戦いは、古い時代の新年祭において、世界の再生を象徴する儀礼を表したもの、とも言われ、自然現象を神格化し、夏(干ばつ)がヴリトラで、それを倒す雷神の神格を持つインドラが雨季の象徴とも考えられています。
インド神話に登場するナーガラージャは蛇神の王とも言われ、最も有名なナーガラージャは、千の頭を持つ、と言われるアーナンタです。アーナンタはこの世が始まる以前、宇宙が混沌の海だった時に、ヴィシュヌ神がその上で寝ており、この世が終わる時、すべての生き物が滅び去る時も、再び世界が創造されるまでの間、ヴィシュヌ神はアーナンタの上で眠り続ける、とされています。
また、ハターヨーガの開祖ゴーラクシャナータは蛇の座布団の上に座っていますが、これは、ゴーラクシャの超常的な力で、水を司る龍神を封じ込めてしまったため、雨が降らなくなってしまった、という逸話をイメージ化しています。
いずれにせよ、インドにおいても、日本においても、龍や蛇は水や生命を司る古い神さまと言えます。
ゴーラクシャナータが構築したハタ・ヨーガは、アーサナ(体操法)、プラーナヤーマ(呼吸法、調氣法)、バンダ(緊縛、止息)、ムドラー(印)、瞑想、という段階があり、肉体を浄化させた上で、全身をめぐるエネルギーの経路であるナーディにエネルギーを巡らせ、バンダやプラーナヤーマなどの行法を用いて、背骨の中央脈管「スシュムナー・ナディ」を通し、「クンダリーニ」と呼ばれるエネルギーを覚醒させ、悟りの境地に至ることを目的としています。
「クンダリーニ」とは、尾てい骨に眠っている、トグロを巻いた蛇の形をした神秘的なエネルギー、という表現をします。「クンダリーニ・シャクティ」と呼ばれる潜在的なエネルギーは、スシュムナーの入り口であるムーラダーラ・チャクラでトグロを巻いて眠っていると考えられており、様々なハタ・ヨーガの技法により、スシュムナー・ナディを通過させ、頭頂のサハスラーラ・チャクラに上昇させることで、チャクラを浄化し、行者は「シッディ(超常的な力)」を得る、と考えられています。
ただし、この行法を行う場合、必ず信頼できるグルの指導のもとで行ってください。身体や心の準備が出来ていない段階で変性意識の状態に入ってしまうと、クンダリーニ症候群と言われる精神に異常をきたしてしまうような状態になることも稀にありますので注意が必要です。
話を最初の赤池龍神に戻しますが、赤池龍神は七福神のひとりである弁財天、つまり、インドのサラスヴァティ女神です。サラスヴァティとは、サンスクリットで「水(湖)を持つもの」の意であり、水と豊穣の女神であるともされています。インドの最も古い聖典リグヴェーダにおいて、初めは聖なる川サラスヴァティ川と同一視されていましたが、後に流れる川が転じて、流れるもの全て(言葉・弁舌や知識、音楽など)の女神となります。
神仏習合によって神道にも取り込まれた日本の弁財天は、宗像三女神のイチキシマヒメだったり、セオリツヒメと同一視されることもあります。また、弁財天の頭には時には蛇が乗っているものもあります。これは、人の頭と蛇の身体を持つ宇賀神とも同一視されているからです。宇賀神とは、中世以降に信仰された蛇神・龍神で、天台宗の教学に取り入れられて弁財天と合体し、宇賀弁財天と呼ばれるようになります。
インドのサラスヴァティも日本の弁財天も池や川を司る水の神様ですが、サラスバティはハンサ(白鳥)や白い蓮華に乗り、ヴィーナ(弦楽器)を手にした優美な姿で描かれることが多いのに対し、日本の弁財天は蛇と合体していたり、龍神の姿だったり、ちょっとおどろおどろしいな、と思っていたのですが、見つけました!蛇に乗ってるサラスヴァティ!!( ´艸`)
このように、蛇神や龍神はとても古くから、日本でもインドでも信仰されていたのですね。
この前、裏庭で3尾の蛇が絡まってトグロを巻いている姿を見つけて、何か良いことありそうな気がして嬉しくなりました。三つ巴ですよ。縁起が良いと思いませんか?。後から蛇に詳しい人に話を聞いたところ、生まれたばかりの蛇の子どもは子犬や子猫のように絡まってじゃれあうのだそうで、それもまたキュンキュンしちゃいました。私は昔から蛇が意外と好きなんです。マヤ暦のKINも「赤い共振の蛇」ですし。笑。ながもの(蛇)が苦手な人、今回はごめんなさい。最後に宣伝ですが、かわいい自作のサラスヴァティの画像を載せておきますね😊
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✡このイベントをもちまして、シャンティ・アイ・ヨーガ・スタジオでの2024年のヨガ・クラスは終了させていただきます。今年最後のヨガ・レッスン感謝を込めて、対価をご自身で決めていただく、というインド・スタイルのドネーションとします。ただし、出店の楽趣味さんの飲食と、サットサンガのお茶代は有料となります。ご了承ください。
ご縁のある方のご参加をお待ちしています(。・ω・。)ノ♡
AUM SHANTI 🌟
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