予祝とサンカルパ

「あなたは何のために、この命を使いたいですか?」

誰もが心のなかに何かしらの願いを持っていると思います。サンスクリット語には「サンカルパ」という言葉があります。「宣言・目標・決意」といった意味の言葉です。そしてそれぞれの「願いの種」がサンカルパです。

人は誰しも人生の目的を持って、この世界に生まれてきています。ところが、年を重ね、人生経験を積んでくると、それまでに培った様々な体験の記憶により、思い込みやトラウマ、心の癖が邪魔をして、人生の目的を果たすことが出来ないでいる人もいるのではないでしょうか?

夢を叶えようと決意しても「やっぱり自分には出来そうもない。」とブロックしてしまったり、「時間がない、お金がない。」と言い訳したり、「環境を整えてからにしよう。」と先延ばしにしたり、あるいは、「君にそんなこと出来るわけがない。」と言ってくるドリームキラーの言葉に意気消沈したり。そんな経験は誰にでもあると思います。以前の私は全部に当てはまってましたよ( ´艸`)

ヨーガ最古の経典であるヴェーダの教えに「結果は自分自身が選ぶものではなく、宇宙の法則によって成就されるもの」というものがあります。どういう事かと言うと、願いの種を蒔けば、宇宙が叶えてくれるという、思いが現実になってしまう宇宙の仕組みがサンカルパだということです。

ヨーガの起源は祭式にあります。祭壇を作り、一番下は五層になっていて、目に見える世界、地・水・火・風・空を表しています。その上で火(タパス)を燃やします。宇宙を生み出す儀式です。そして、心や意識や欲望、つまり願いを言葉(マントラ)にして、火のエネルギーを天の無限の存在(梵・ブラフマン)に届けます。

これは、言わば宇宙のミニチュア版で、その後、祭壇はすべて壊します。そして自分の身体の中にもう一度祭壇を作ります。丹田でタパスを燃やして宇宙を生み出す儀式を身体の中で行います。これが瞑想の起源です。願いが叶わない世界を一度壊して、願いの叶う世界を新たに構築する、という破壊と再生の思想で、それはあらゆる願いを叶えるための魔法でもありました。

ヨーガの教えに基づく宇宙の法則では、心が先で現象や出来事は後からやってくる、という考え方があります。自分が目にする現実は、すべて自分の心の状態である、というわけです。なので、現実を変えるためには、心や脳をコントロールすれば良いわけです。巷で言われる潜在意識の引き寄せってやつですね。夢や願いを潜在意識にインプットして、夢が叶っているところを想像して、前もって祝う、喜ぶ、という方法です。

先にお祝いすることで現実を引き寄せる「予祝」と言われる呪術が古来日本にもあります。

その年の豊作を願って、小正月などに秋の豊作の様子を模擬実現する「餅花」

春に満開に咲く桜を、秋のお米の実りに見立て、仲間とともにお酒を飲みながら祝う「花見」

桜の語源の「さ」は田の神を表し、「くら」は座を意味します。「さくら」は田の神の降りてこられる場所であり、稲作が始まる春に田の神が桜の花を咲かせると信じられてきました。

「盆踊り」もまた、秋の豊作を喜ぶ前祝いの踊りであり、「餅まき」も予祝です。また、「明けましておめでとうございます。」という言葉も、本来の意味は「今年は最高の一年になりましたね。」という予祝の言葉なのです。

このように日本人は何気ない日常の中に神性を見い出し、予祝という呪術を当たり前のように行っていました。すべての行いは神事であり、祈りでした。日本人にとって予祝とは、神への感謝でもあったのです。

「あなたは何のためにこのいのちを使いたいですか?」

もう一度質問します。

夢とは、こうなっていたら嬉しい、と心がわくわくすること、そして、そのわくわくの先には何がありますか?

「夢が叶ったら、さらにどんな嬉しいことがおこりますか?」

「夢が叶ったら誰を喜ばせ、誰に感謝を捧げたいですか?」

自分の夢に向き合うことは、自分自身の魂の目的や生まれてきた意味を知ること、とも言えます。

では逆に、思い通りにならないことはなぜ起こるのでしょうか?

科学的スピリチュアル人生論、飯田文彦氏の「生きがいの創造」では、人生で直面する試練は次の三つだと言います。

①死ぬということ

②病気になったり身体にハンディキャップを持つこと

③人間関係のトラブルで苦悩するということ(お金や戦争も人間関係のトラブル)

人間はなぜこのような試練を受けるのか、といえば、それは、生まれてこなければ経験できない貴重な学びの場を選んで生まれてきたから、と言えます。思い通りにならないことを通して学ぶことこそが、人間として生きる目的、意義、意味なのだ、と飯田氏は言います。

宇宙は絶対的にプラス思考です。ここで言う宇宙というのは、物質宇宙ではなく、精神宇宙です。ヨーガでは梵、ブラフマンと言い、日本ではアメノミナカヌシと呼ぶ宇宙の根源です。

宇宙物理学では宇宙という物質を創造したのはビッグバンと呼ばれる大爆発だと言われます。

ヴェーダによる宇宙の成り立ちは、はじめに目に見えるものは何もないワンネスの状態があり、それをブラフマン(梵・無限・空)と呼びます。そこに意識・心・欲望(意欲)が出現します。心がタパス(熱)によってビッグバンを起こし、目に見える宇宙、つまり物質宇宙が出来上がったと考えられています。

つまり、ビッグバン以前に物質ではない何かが存在していたことになり、これが飯田氏の言う精神宇宙です。精神宇宙による物質宇宙の創造をビッグバンと呼んでいるわけで、日本神話では天地創造と言っています。

なので宇宙の本質は「意識としての精神宇宙」であり、それは成長を志向する無限の普遍意識というものです。この精神宇宙が創造した物質宇宙の中の地球という星で、人は様々な学びを経験させられているのです。

ということは、精神宇宙そのものであるプラス思考になってしまえばいいわけです。物事はすべてプラスに働いていて、起こることすべては順調であり、インド式に言えば「ノー プロブレム」なのです。(私はインドでこの言葉にずいぶん泣かされましたけどね( ´艸`)

そしてヴェーダによれば、ビッグバンによって生まれた目に見える世界、物質宇宙は願望を叶えるために存在しているらしいです。え!?ヨーガの目的って欲望を手放すことじゃなかった!?実はヴェーダの膨大な教えの8割が願望を叶えるための方法で、残りの2割が願望を手放すための教えなのです。人は願望を達成しないと、願望を手放すことができない生き物なんですね。

「願いの種」を見つけたら、夢を叶えるための決意をします。そして夢が叶った時のことを想像して喜び、祝います。夢を叶えるコツはとにかく楽しむことです。夢は深刻さを嫌うのだそうです。サンカルパを行ったあとは、夢に執着せずに、あとは精神宇宙にゆだねます。

ヨーガの教えに基づく精神宇宙の法則を思い出してください。心で思ったことが現実に起こります。自分が目にすることはすべて自分の心の状態だからです。

私はインドでよくババジにこう言われました。

「あなたが悲しいと世界は悲しむ。あなたが笑えば世界も笑う。それが真実だ。」

下の絵は、サンカルパの講座で私が思い描いた自分の2年後のイラストですが、ちょうど2年後に理想のヨガスタジオをオープンすることが出来ました。ブルーベリー畑と茶畑のある山に囲まれた古民家です。当時の私のサンカルパです。

「ようこそ、シャンティ・ヴィレッジへ

私はついにシャンティ・ヴィレッジを作りました!野生動物たちが棲み分けて生き生きと暮らす緑豊かな山。そこから湧き出る清らかな水。そんな山の麓にシャンティ・アイ・ヨーガ・スタジオはあります。自然と調和する広々とした日本家屋。薪で火を焚き、田畑をやり、保存食を作り、果樹もたわわに実っています。澄んだ空気と風が通る心地よい場所で、本当の自分に出会うためのヨーガ・レッスンをガイドしています。そのことで、今、生きづらさを感じている人が幸せになり、その波紋が広がって、人のこころも自然環境も豊かになり、生きとし生けるものと調和して生きる喜びをたくさんの人が体験して、子供たちの未来が永遠に美しいものでありますように。」

MOMO Shanti i

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